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代表弁護士 中川 浩秀

景品表示法とは?対象行為や違反した際の罰則、注意点等を解説

消費者が商品やサービスを購入する際、最も気にかける点が、その価格ではないでしょうか。

本来、商品やサービスにおける事業者間の価格競争は消費者にとって有益なものですが、事業者の判断によっては消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害し、これによって消費者が不利益を被る場合もあります。

それを防止するために存在する、「景品表示法」という法律をご存知でしょうか。

特に現在は、副業の推進やそれを後押しするCtoCプラットフォーム系のサービスの台頭により個人で商品やサービスの提供を行うことが容易になってきています。したがって、景品表示法は、中小企業やベンチャー企業等をはじめとする法人はもちろん、事業を行う個人の方も注意しなくてはいけない法律になってきています。

そこで、今回は景品表示法について、その概要や違反した際の罰則、注意点等に焦点を当てて解説していきます。



景品表示法とは?

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。

消費者は、通常その消費活動(モノやサービスを購入する活動のこと)において、「より良い商品やサービス」を求めます。

「より良い商品やサービス」とは、「より安価な商品やサービス」「より高品質な商品やサービス」と言い換えることができます。すなわち、一般消費者は、「より良い商品・サービスを安い価格で手に入れたい」と考えているのです。

反対に、事業者は、より多くの利益を出すことが宿命づけられています。特に株主や従業員、取引先といったステークホルダーの多い法人の場合には顕著ですし、個人事業主の方だってより多くのお金を稼ぎたいと考えるのが通常です。したがって、事業者の方は、悪い商品やサービスを提供するつもりはないとしても、「より高い価格で販売したい」と考えています。
そこで、事業者としては、消費者に選んでもらうため、商品やサービスに付随して不当な物品や金銭(景品類)を提供したり、景品類商品やサービスの内容や価格の表示を偽ったりということを行い、もって消費者が正常な判断を狂わせられるということが起こり得ます。消費者としては、余計な景品類や表示の偽りがなければ購入しなかった商品やサービスを、景品類や表示の偽りが原因で購入して結果的に損をしてしまうということが起こります。

このような消費者の不利益を防止するために、景品表示法が存在します。

すなわち、景品表示法は、事業者が商品やサービスの販売に際して不当な景品類や偽りの表示によって消費者に購入を促し、消費者の選択の自由を阻害することを防止し、「消費者の利益保護」をすることを目的としています(景品表示法1条参照)。

1. 景品表示法の目的

景品表示法の目的は前述のとおりです。

商品・サービスの取引に関する不当な景品類や不当な表示によって顧客を誘引することを防ぐことで、消費者の自主的で合理的な商品・サービスの選定に寄与します。

これによって、事業者は商品やサービスの真の質や価格などによる正当な競争を行わざるを得ず、結果的に消費者が保護されるのです。

2. 景品表示法の背景

景品表示法の発端となったのが、1960年に起きた「ニセ牛缶事件」です。

これは、牛の絵が描かれている缶詰に入っていた1匹の蝿を確認した消費者が保健所に報告したのがきっかけでした。

これによって、衛生局が調査を進めるうちに、一般に市販されている牛肉の大和煮等と表示されている缶詰に使われていたのは大部分が牛肉ではなく鯨肉や馬肉であることが発覚したのです。

しかし、この事例は刑法上の詐欺罪にも食品衛生法違反にも問われずに、幕をおろしました。

そこで、このような欺瞞的な表示により消費者の被害が拡大することを防ぐため、最初の景品表示法が1962年に制定されました。その後、同法律は改正を繰り返し、現在に至っています。

3. 景品表示について

ここからは、景品表示法を理解するために欠かせない「景品表示」について解説していきます。

基本的に日本で生活していれば誰しもが、一度は目にしたことがある景品表示。

お店に行くと商品や看板、広告チラシでは商品に

  • 「100円引きクーポン!」
  • 「11月30日まで半額!」

このような表記を見たことがないでしょうか。これが景品表示です。

これらの表示には、消費者の購入を喚起する効果があるので、ほとんどの方はこのような景品表示を見て商品やサービスを購入したことがあるのではないでしょうか。

本来、事業者同士が商品やサービスの価格競争を行い、価格が安いことをこのような景品表示をもって消費者に認知してもらい、消費者の購入を促進し事業者の売上の向上を図ることは、事業者、消費者の双方にとって有益なはずです。

しかし、事業者がその商品・サービスについて実際の品質よりも高い品質に見せかけるような虚偽の記載(不当な表示)をし、それを信じた消費者がその商品・サービスを購入してしまうと、消費者は不利益を被ることになります。

例えば、先ほどの正確な景品表示とは異なり

  • 「どこの製品よりもハイパフォーマンス!(本来は低品質)」
  • 「業界最安値!(本来は平均値)」

このような虚偽の記載は消費者の購入を促進し、事業者にとっては売上増大に繋がる表示です。しかし、消費者にとっては虚偽の情報に基づいて商品やサービスの購入を促進されていることになり、有益な表示とは言えません。

皆さんが今までに購入した商品の中には、このような虚偽の記載のされた商品があるかもしれません。

さらに、事業者たちが不当な景品類や不当な表示による競争に走り出すと、事業者たちは商品やサービスそのものの質を向上させたり付加価値をつけたりする努力を怠ります。結果として良い商品やサービスが市場に供給されず、消費者がさらなる不利益を被る、ということも起こり得ます。

このように、商品やサービスの表示については、それが正当になされている限りは、消費者がその商品やサービスの価値を正しく判断するための材料になり、ひいては消費行動の活性化に繋がります。しかし、それが不当になされることを許してしまうと、消費者がその商品やサービスの価値を正しく判断することを阻害し、ひいては消費行動の停滞を招く可能性もあります。

これを防ぐために、景品表示法が定められて、不当な景品類の提供や不当な表示に対する規制が行われているのです。

また、景品表示法によって景品の最高額や総額を規制することで、事業者の過大な景品によって消費者が過度に射幸心を刺激させられるという被害を受けることがないように消費者を保護し、消費者の健全な消費を促進し、不健全な競争を防ぐ効果を期待することができます。

景品表示法の対象となる商品は?

ここからは、一体どのような景品が景品表示法上の「景品」として定義付けられているのかについてみていきましょう。

「景品」とは、「消費者を誘引する手段において、………(一部省略)事業者が自己の供給する商品又は役務の取引……(一部省略)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」と定義されています(景品表示法2条3項)。

身近なところで言えば、粗品やおまけ、賞品のことを指します。これらが、景品表示法の適用対象になります。

1. 景品規制について

ここからは、景品表示法による景品規制についてです。景品規制は以下の3つに分類されています。

一般懸賞

商品やサービスの消費者に対して偶然性、特定行為の優劣等によって景品を提供することを指します。抽選券やクイズによって提供されるものが該当します。

共同懸賞

複数の事業者が参加して行う懸賞のことを指します。商店街に属する小売業者等の相当多数が共同して行うものや、商工会議所が主催するものが該当します。

総付景品

別名「ベタ付け品」とも呼ばれるこちらは、商品やサービスの消費者や来店者に提供する金品等を指します。来店時に配布されるクーポン等が該当します。

このように、景品表示法によって懸賞等についても定められています。

正式名称では馴染みのないこれらの景品規制群ですが、実際のところは、それぞれ皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

言い換えれば、景品表示法は一般消費者の方の生活に密接に関わっているということになります。

2. 業種別景品告示について

また、景品表示法に付随する形で、留意しておきたいのが「業種別景品告示」です。

上記の景品表示法は基本的に身近なところであれば、飲食物や衣類などが一般的に該当し、これらは皆さんの生活に欠かすことのできないものです。

一方で、新聞業や雑誌業、不動産業、医療用医薬品業、医療機器業などは、業種別告示が適用されます。

これらは、それぞれの業界の実情等を考慮し、飲食や衣服といった一般の景品規制とは異なるものが対象となって定められています。

3. オープン懸賞について

最後は「オープン懸賞」についてです。こちらは最も馴染みの深い景品表示かもしれません。
上記の一般懸賞、共同懸賞、総付景品の場合である「クローズド懸賞」のような商品の購入者のみが応募資格が与えられるような懸賞の場合には、景品規制の対象となりますが、これに対し、オープン懸賞は、
商品やサービスの購入を前提とせずに、基本的に誰でも自由に応募できる懸賞のことを指し、景品規制の対象とはなりません。

具体的には、新聞やテレビ、雑誌、ウェブサイト上で企画を告知することを指し、商品やサービスの消費や来店を必要としません。

これによって、郵便はがきやウェブサイト、メールで応募することができ、抽選で金品等が提供されます。

景品表示法違反や罰則は?

景品表示法は当然ですが、法律で定められているので違反を犯すと罰則が与えられます。

1. 景品表示法違反

まずは、違反について見ていきましょう。

先述した通り、大きく分けると違反行為は「不当な表示」と「過大景品提供」になります。

「不当な表示」とは

まずこちらは、虚偽や誇大した表現で表示することを指します。

この不当表示を規制することによって商品やサービスの情報が適切に伝わることを促し、消費者がその商品やサービスを購入するかどうかを正しく選択することができるようになります。

不当な表示には3つの種類があります。

1つ目が、優良であることの根拠を示すデータがないにも関わらず実際のもの又は他の類似商品よりも著しく優良であると表示してしまう「優良誤認表示」です。

  • 中国製の衣類を「日本製」と表示
  • 無機栽培によって生産された商品を「有機栽培」と表示
  • 異なる場所で撮影された写真をパンフレットへ表示

このような事例が挙げられます。

2つ目が商品等の価格などの取引条件が著しく有利であると表示をする「有利誤認表示」です。

  • 「セット割引」と表示されている家電セットがバラ売りと同様の価格
  • 「限定2名様」と表示されているプレゼント企画が本来は10名
  • 「全品半額」と表示されているにも関わらず一部のみが対象

このような事例が挙げられます。

3つ目が商品等の内容や取引条件以外のことに関する不当な表示です。

  • 「JAPAN」と縫い付けがあるが中国製
  • 無果汁の飲食物に果物の写真を使用し注意書きがない

過大景品提供とは

こちらは、商品やサービスを提供する際に過剰な景品を用意することを指します。先述の景品規制を参考にしてください。

過剰な景品によって消費者を困惑させることを防ぎ、適切な対価で商品の売買が行われるようになります。

つまり、これらに反することは違反行為に当たります。

2. 景品表示法における罰則等

景品表示法には先述したような違反行為があり、それに対して様々は措置がなされます。

違反行為に対しては、行政処分、刑事罰、勧告、損害賠償請求、差止請求の5種類があります。
それでは1つずつ具体的に見ていきましょう。

行政処分とは

これは景品表示法を所管する消費者庁から受ける罰則で、不当な表示や過大景品の提供の疑いがある場合には調査が行われます。

商品やサービスに表示されている内容が景品表示法に違反している可能性がある旨を関連事業者・団体や一般消費者から情報提供を受けた場合、消費者庁から資料の提供や事情聴取を求められたりする対象となります。

不当表示等の違反があると認められた場合には、措置命令が出され、その事業者は消費者に与えた誤認の排除、再発防止が義務付けられます。

また、措置命令をする必要性までは認められない場合でも、違反のおそれがある行為を行った事業者に対しては、是正措置をとるよう指導が行われることになります。

景品表示法違反に対する調査や措置は、地域に密着した都道府県知事も担うことで、違反に対して迅速かつ効率的に行われています。

また、最終的には租税以外の金銭のことを指す課徴金の納付命令が出されます。これに関しては、消費者庁にのみ権限があります。

刑事罰とは

例えば、行政処分の対象となり、消費者庁からの措置命令を受けたにも関わらず、その表示を訂正しない場合には、最大2年の懲役最大300万円の罰金またはその両方が科せられます。

勧告とは

こちらは、行政処分と被るものですが、景品表示法違反を指摘されたにもかかわらず、事業者が正当な理由もなく対応を怠った場合、消費者庁から勧告を受けます。

先述の優良誤認表示や有利誤認表示に当たる行為を行なっている場合、消費者庁はその事業者名を公表することが認められます。

公表にされることによって事業者はイメージダウンやそれによる売上の減少などの損害を受ける可能性があります。

損害賠償請求とは

こちらは、景品表示法の違反によって第三者に損害を与えてしまった場合に、第三者に対しても損害を賠償する必要があることを指します。

差止請求とは

こちらは、景品表示法の違反や違反の可能性がある場合に、適格消費者団体がその行為の停止措置や予防措置をとるように請求することのできる制度です。

以上が景品表示法違反に対する罰則等ですが、事業者にとってはどの罰則等に当たっても、消費者の信頼性や売上を失うといった影響が出る可能性が高いでしょう。

副業促進や個人事業における物販について

近年は、副業の促進やCtoC系のサービスの台頭に伴い、物販関係の副業をしている方も増加傾向にあると思います。そんな物販ビジネスと密接なのが今回の景品表示法です。

個人でも比較的参入しやすいビジネスになっているので、参入を検討したことがある方も多いのではないでしょうか。

特に最近は、中国からの輸入ビジネスが流行りでもあります。世界の製造拠点となり世界中の製造を担っている中国ですが、安い労働力と広大な土地を持ち、大量生産を可能タラ占め、中国から物品を安価に仕入れることができます。

そして、それをECサイト(「アマゾン」や「楽天」など)やフリマサイト(「メルカリ」や「ヤフオク」など)で販売する方法です。個人でこのようなビジネスを行う際に留意しておきたいのが、景品表示法の内容です。

他にも、中小企業やいわゆるスタートアップ・ベンチャー企業においても物販関係のビジネスを行なっている業者は数多あります。

今回、解説をしてきた景品表示法はそれらのビジネスと密接に関わっています。

大企業が安泰と言われていた時代はすでに終焉を迎え、終身雇用制度の維持が困難になってきているのは事実です。

そんな時に、副業を考えて真っ先に思いつくものの1つがやはり、物販関係のビジネスです。

特に近年は、インターネットやスマホの普及は当然ですが、フリマアプリの台頭は目覚しいものになっています。

基本的に、安く商品を仕入れて、仕入れよりも高く売るというのは、ほとんどのビジネスにおいてベースとなる考え方です。

そんな中で、自らの取り扱う商品やサービスの提供を行う際、その景品や表示の内容・方法についてどこまでがセーフでどこまでがアウトなのか、違反や罰則にはどのようなものがあるのかを把握し、景品表示法に違反しないように実践してください。

まとめ

今回の記事では景品表示法に関して、その概要や事例、気を付けるべきポイントについて解説してきました。

消費者の自主的で合理的な判断を助けるのが景品表示法ですが、法の隙間を抜けて不当な表示や過大景品によって、消費者が被害を受けたことによって改正が進み、現在に至っています。

ここで重要なことは、「消費者の利益を考える」ということです。企業経営はお金を稼がないといけませんから、「キレイゴト」だけでは上手くいかないことは事実です。
しかし、事実と異なる不当な表示で消費者を騙し、自社の商品やサービスを買ってもらって嬉しいでしょうか。そんな嘘をつかなくても消費者が欲しいと思える商品やサービスを開発し、それを購入し利用した消費者に喜んでもらう方が、はるかに価値があるのではないでしょうか。

我々東京スタートアップ法律事務所は、消費者・ユーザーに喜んでもらえる商品・サービスを提供しようと頑張る企業の法的なサポートしていきたいと考えています。

代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会
2010年司法試験合格。2011年弁護士登録。弁護士法人東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。同事務所の理念である「Update Japan」を実現するため、日々ベンチャー・スタートアップ法務に取り組んでいる。