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投稿日: 弁護士 橋本 大輔

景品表示法の不当表示とは?具体的な事例・罰則規定も解説

昨今、インターネット上の広告等が景品表示法違反となる不当表示に該当するという理由により、消費者庁から措置命令等を受けるケースが増えています。自社の商品の魅力を伝えるために使用した表現が不当表示に該当する可能性もあるため、どのような表現が不当表示に該当するか理解しておくことは非常に大切です。

今回は、景品表示法の概要、不当な広告表示を禁止する規定、景品表示法違反に対する罰則、広告表示の提供者が講じるべき措置などについて、具体的な事例を交えながら解説します。

景品表示法とは

不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景品表示法」という)は、商品販売・サービス提供における広告の不当表示や過大な景品提供から一般消費者の利益を保護するための法律です。1962年に成立し、同年に施行されました。

1.法律の趣旨

景品表示法は、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選択する権利を保護するために定められました。商品・サービス選択における消費者保護の目的を果たすため、不当な景品類及び表示による顧客誘引が禁止されています(景品表示法第1条)。

「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件について、消費者に知らせる広告や表示全般を指します。
表示の例としては以下のようなものがあります。

  • チラシ、パンフレット、カタログ
  • ダイレクトメール、FAX広告
  • 新聞、雑誌、出版物、TVCM、ラジオCM
  • セールストーク(訪問・電話)
  • 容器、パッケージ、ラベル
  • 陳列、実演広告
  • ポスター、看板
  • インターネット上の広告、メール

また、「景品類」とは、顧客を誘引する手段として取引に付随して提供する物品や金銭など経済上の利益を指します。

なお、景品表示法に基づく主要な事務は、同法第33条1項に基づき内閣総理大臣から委任を受けた消費者庁長官及び同法第33条2項に基づき消費者庁長官から権限の一部の委任を受けた公正取引委員会が行うこととなっています。

2.景品表示法制定のきっかけとなった事件

景品表示法成立前は、不当な広告・表示や不当な景品類提供は独占禁止法の不公正な取引方法として規制されていました。
1950年代後半(昭和30年代前半)頃から「ウイスキーでハワイ旅行」のような過大な景品付き販売が行われるようになった中、1960年にいわゆる「ニセ牛缶事件」が発生しました。牛の絵のついた牛肉大和煮の缶詰にハエが入っていた旨の届出が行われたために調査が行われた結果、その問題とは別に、缶詰の肉が牛肉ではなく鯨肉や馬肉であることが確認されたというものです。
この事件を受けて公正取引委員会は当初「畜肉、クジラ肉等の缶詰業」等について不公正な取引方法を指定しました。しかし、人を騙すような表示(欺瞞的表示)は特定の業界のみで行われるものではないという議論の下、独占禁止法の特別法として景品表示法が制定されました。

景品表示法の制定以降、同法に基づく事務は公正取引委員会が所管していました。その後2009年の消費者庁の創設に伴い、景品表示法に関する業務は公正取引委員会から消費者庁表示対策課に移管されました。同時に景品表示法が改正されて、目的規定(第1条)の「一般消費者の利益を保護すること」が同法の間接的な目的から直接的な目的へと変更され、消費者保護法であることが明示されました。

不当な広告表示を禁止する規定

景品表示法が禁止している「不当な広告表示」は、以下の3つの種類に分類されます。

  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
  • その他誤認されるおそれのある表示

それぞれの種類について説明します。

1.優良誤認表示の禁止(第5条1号)

①優良誤認表示とは

優良誤認表示については、景品表示法第5条1号で以下のように定められています。
“商品又は役務(サービス)の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際の物よりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められたもの”
つまり、実際よりも著しく良い品質・規格・内容の商品であると消費者に思わせるような表示のことです。「著しく」とは、誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指します。その判断は、当該表示を誤認して顧客が誘引されるか否かによります。

「品質」とは、商品に関する成分や属性を指します。前者には原材料、純度、添加物等、後者には、性能、効果、鮮度等が含まれます。
「規格」は国、公的機関、民間団体などが定めた一定の要件を満たすことで自動的に又は認証等を経て表示することができる等級等をいいます。
「その他の内容」は商品・サービスの品質や規格に間接的に影響を及ぼすものも含まれます。例えば、原産地、製造方法、受賞の有無、有効期限などです。

②優良誤認表示の例

・飲食店で提供される料理の原材料:大手外食チェーン店が販売していた「黒ビールカリー」等のメニューで、実際にはビールを使用していなかった。(「品質」を誤認させる表示)

・LED電球の明るさ:電球形LEDランプ販売業者12社が、実際には全光束(光源が全ての方向に放出する光束の総和)が日本工業規格に定められた白熱電球60ワット形の全光束を大きく下回っているにもかかわらず、あたかも「白熱電球60ワット相当」の明るさであるかのように表示していた。(「規格」を誤認させる表示)

・食品:焼き肉レストランチェーン店で提供した牛肉料理に使用していたタン、ハラミ、シマチョウという部位について、同社が「国産黒毛和牛を使用」と表示していたにもかかわらず実際には大部分あるいは全部に外国産牛肉が使用されていた。(「その他の内容」の原産地を誤認させる表示)

③不実証広告規制(景品表示法第7条2項)

消費者庁は、上記の優良誤認表示に当たるかどうかを判断するため必要があると認めるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。資料の提出を求める文書を交付した日から15日以内に当該資料が提出されない場合、当該表示は不当表示とみなされます。

「合理的な根拠」を示したといえるかどうかは以下の基準により判断されます。

  • 関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法により実施した試験・調査によって得られた結果
  • 専門家等が客観的に評価した見解又は学術文献で、当該専門分野で一般的に認められているもの

不実証広告規制に該当するとされた例はダイエット効果を謳う健康食品に多くみられます。
例えば、酵素ドリンクを含む「ダイエットパック」と称するセット商品を、「本気でダイエットなら○○酵素ドリンク 99%が痩せています」等、あたかも酵素ドリンクとセット商品の食品を摂取するだけで容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた事例で、消費者庁が期間を定めて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、販売会社から資料が提出されました。しかし、当該資料はいずれも合理的な根拠を示すものとは認められなかったとして、消費者庁は当該表示行為を優良誤認表示に係る不実証広告規制違反に該当するとしました。

2.有利誤認表示の禁止(第5条2号)

①有利誤認表示とは

有利誤認表示については、景品表示法第5条2号で以下のように定められています。
“商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの”

つまり、実際には得ではないのに「これはとってもお得だ」と消費者に思わせる表示のことです。
有利誤認表示とされる表示の中でも、実店舗・インターネットいずれの販売形態でも消費者の目につきやすく、誤認による顧客誘引に結びつきやすいのが二重価格表示です。
二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示することです。二重価格表示自体が違法なわけではありませんが、比較対象価格の内容について適正な表示が行われていない場合は、有利誤認表示に該当するおそれがあります。比較対象価格として主に用いられるのは、以下の3種類です。

  • 過去の販売価格
  • 他店の販売価格
  • メーカー希望小売価格

また、商品の数量、アフターサービス、保証期間、支払い条件等の取引条件について誤認される可能性の高い表示も有利誤認表示にあたります。

②有利誤認表示の例

二重価格表示の例としては、大手通信販売会社が、エアコン商品の価格につき「通常税抜価格79,800円→2万円値引き→会員様限定2000円値引き→会員様特価57,800円」と表示していた件が、実際には「通常価格」として表示した79,800円での販売実績がなかったために有利誤認表示に該当するとされた事例があります。

消費者庁が公表しているガイドラインによれば、セール開始時点から過去8週間のうち、その価格による4週間以上の販売実績がある場合には過去の販売価格を「通常価格」として表示することができるものとされています。販売開始から8週間未満のときは販売期間の過半かつ2週間以上の販売期間があれば足ります。ただし、販売期間が2週間未満の場合は過去の販売価格としての表示自体が原則認められません。また、実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合も、過去の販売価格として表示することができません。

3.その他の一般消費者に誤認されるおそれがある表示の禁止

①その他誤認されるおそれのある表示

景品表示法上、優良誤認表示と有利誤認表示に該当する表示以外でも、事業者は、自己の供給する商品又はサービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示を行ってはならないとされています(同法第5条3号)。
これは、優良誤認表示や有利誤認表示だけでは、複雑な経済社会において一般消費者の自主的かつ合理的な商品又はサービスの選択を妨げる表示に十分に対応することができない場合があると考えられるためです。

②誤認されるおそれがある表示を定めた公正取引委員会告示

公正取引委員会告示には、誤認されるおそれがある表示について具体的に定められています。例えば、以下のような表示は、誤認されるおそれがあるとされています。

・商品の原産国に関する不当な表示(昭和48年10月16日公取委告示第34号)

一般消費者が原産国を判別することが困難な場合、以下の表示は不当表示となります。

  • 原産国以外の国名、地名、国旗等の表示
  • 原産国以外の国の事業者名、デザイナー名、商標等の表示
  • 国内産の商品について文字表示の全部又は主要部分が外国の文字で示されている表示
  • 外国産の商品について文字表示の全部又は主要部分が和文で示されている表示

実際、ラベルに「いわて・もりおか」等の国内の地名が表示されていたはちみつが、実際は中国又はハンガリーで採蜜された天然はちみつを混合していたという例があります。

・おとり広告に関する表示(平成5年4月28日公取委告示第17号)

一般消費者を誘引する手段として行う以下の表示は不当表示となります。

  • 取引に応じることができない場合のその商品又はサービスについての表示
  • 商品又はサービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらずその旨を明示していない表示
  • 商品又はサービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
  • 取引の成立を妨げる行為が行われる等実際には取引する意思がない商品又はサービスについての表示

実際、中古自動車の売買契約が成立した後も、インターネット上の販売サイトで、販売可能であるかのように表示していたという例があります。

景品表示法違反に対する罰則

景品表示法に違反する行為が行われている疑いがある場合、消費者庁は関連資料の収集、事業者への事情聴取等の調査を実施します。消費者庁は、調査の結果、違反行為が認められると、事業者に弁明の機会を付与した上で、違反行為の差し止め等必要に応じた措置命令を行います(同法第7条)。また、消費者庁は違反行為の中でも課徴金対象行為をした事業者に対しては、弁明の機会を付与した上で金銭的な不利益を科す課徴金納付命令を行います(同法第8条)。
課徴金命令に関しては、課徴金対象行為をした事業者がその事実を消費者庁に報告した場合や、所定の手続きに従って消費者に対して返金措置を行った場合の減額措置が規定されています。

1.措置命令(第7条)

景品表示法第4条の規定による制限若しくは禁止又は第5条の規定に違反する行為が認められた場合、事業者に弁明の機会を付与した上で以下のような措置命令を行います。

  • 違反したことを一般消費者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講ずること
  • その違反行為を将来繰り返さないこと

優良誤認表示・有利誤認表示・その他誤認のおそれのある表示に該当する実例では、多くの場合消費者庁による措置命令が出されています。この措置命令に違反した事業者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法第36条1項)。

2.課徴金命令(第8条)

課徴金命令は、平成26年の景品表示法改正により新たに導入された制度です。優良誤認表示行為と有利誤認表示行為に対して、消費者庁は当該表示を行った事業者に対して弁明の機会を付与した上で、課徴金対象行為に係る商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額を課徴金額として納付することを命じることとされています。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、事業者は課徴金の納付を命じられません。

  • 課徴金対象行為をした事業者が、当該課徴金対象行為をした期間を通じて、その表示が優良誤認表示または有利誤認表示に該当することを知らず、かつ表示の根拠となる情報を確認する等の注意をしており、「知らないことにつき相当の注意を怠った者でない」と認められる場合(景品表示法第8条1項但書)
  • 課徴金額が150万円未満(上記「売上額」が5000万円未満)である場合

3.事実の報告による課徴金減額措置(第9条)

課徴金対象行為を行ったとされる事業者が、課徴金対象行為に該当する事実を自主的に消費者庁長官に報告した場合、その事業者について所定の要件を満たす場合には課徴金額の2分の1が減額されます。

4.自主返金措置の実施による課徴金額の減額等(第10条)

課徴金対象行為を行ったとされる事業者が、返金措置の実施に関する計画を作成し、消費者庁長官の認定を受ける等、所定の手続に従って消費者に対して返金措置を行った場合、消費者庁は返金相当額を課徴金額から減額するか、返金相当額が課徴金額以上の場合にはその納付を命じません。
(ここでいう「返金措置」とは、課徴金の対象となる期間に事業者が課徴金対象行為をした商品・サービスの取引をしたことが特定される一般消費者から申出があった場合に、その申出をした一般消費者の購入額に3%を乗じた額以上の金銭を交付することをいいます。)

広告表示の提供者が講じるべき7つの措置

景品表示法第26条~第28条に基づき、消費者庁は「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」を定めています。指針では、事業者が講じるべき措置の事項の基本的な考え方の他、7つの事項に沿った具体的事例が示されているので、ご紹介します。

1.景品表示法の考え方の周知・啓発

事業者は、景品表示法の考え方について、周知・啓発を行うべきとされています。周知・啓発の具体例としては以下のような事例が示されています。

  • 関係従業員等が、都道府県・事業者団体・消費者団体等が主催する景品表示法に関する社外講習会に参加すること
  • 景品表示法に関する勉強会を定期的に開催すること

2.法令順守の方針等の明確化

事業者は、発法令順守の方針等を明確にすべきとされています。具体例としては以下のような事例が示されています。

  • 法令順守の方針等を社内規程、行動規範等として定めること
  • 社内規程において、不当表示等が発生した場合に係る連絡体制、具体的な回収等の方法、関係行政機関への報告の手順等を規定すること

3.表示等に関する情報の確認

事業者は、商品又はサービスの長所や要点を一般消費者に訴求するためにその内容等について表示を行う場合、当該表示の根拠となる情報を確認する必要があるとされています。具体例としては以下のような事例が示されています。

  • 生産・製造・加工が仕様書・企画書と整合していうかどうか確認すること
  • 企画・設計・調達・生産・製造・加工の各段階における確認事項を集約し、表示の根拠を確認して、最終的な表示を検証すること

4.表示等に関する情報の共有

3で確認した情報は、当該表示等に関係する各組織部門が必要に応じて共有し確認できるようにする必要があるとされています。具体例としては以下のような事例が示されています。

  • 表示等に影響を与えうる商品又はサービスの内容の変更を行う場合、担当部門が速やかに表示等担当部門に当該情報を伝達すること
  • 社内イントラネットや共有電子ファイル等を利用して、関係従業員等が表示等の根拠となる情報を閲覧できるようにしておくこと

5.表示等を管理するための担当者等(表示等管理担当者)を定めること

表示等を管理するための担当者等(表示等管理担当者)を定めることも必要とされています。代表者自身が表示等を管理している場合に、その代表者を表示等管理担当者と定め、代表者が表示等の内容を確認すること、商品カテゴリごとに異なる部門が表示等を策定している場合、各部門の長を表示等管理担当者と定め、部門長が表示等の内容を確認することが求められます。

6.表示等の根拠となる情報の保管

表示等の対象となる商品又はサービスが一般消費者に供給されうると合理的に考えられる期間、問い合わせへの対応等で事後的に確認するために、表示等の根拠となる情報の記録・保管も求められています。製造業者等に問い合わせれば足りる事項については、その業者等に問い合わせができる体制を構築しておくことが求められます。

7.不当な表示等が発覚した場合の迅速かつ適切な対応

一般消費者に対する誤認を取り除くために必要がある場合は、速やかに一般消費者に対する周知(新聞、自社サイト、店頭での貼り紙等)と改修を行う必要があります。また、関係従業員等に対して必要な教育・研修等を改めて行うことも求められます。

まとめ

今回は、景品表示法の概要、不当な広告表示を禁止する規定、景品表示法違反に対する罰則、広告表示の提供者が講じるべき措置などについて解説しました。

不当表示が発覚した場合は、事業者側に故意や過失がなかった場合でも、景品表示法に基づく措置命令が行われることになるため注意が必要です。不当表示を回避するための対策を行いたいけれど、何から行えばいいかわからないという場合は、企業法務に精通した弁護士に相談しながら進めてもよいでしょう。

東京スタートアップ法律事務所では、豊富な企業法務の経験に基づき、各企業の状況や方針に応じたサポートを提供しています。広告表現や景品表示法違反を回避するための社内ルール策定等に関するご相談にも応じておりますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

弁護士橋本 大輔 東京弁護士会
2013年慶応義塾大学卒。2014年司法試験予備試験合格。2015年司法試験合格。2016年弁護士登録。特に会社法・知的財産権・労務・事業再生等に明るく、企業法務案件全般に取り組んでいる。